個人が、事業の用に供している特定の地域内にある土地建物等を譲渡した場合に、一定期間内に特定の地域内にある土地建物等の特定の資産を取得し、 その取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供したときは、事業用資産の買換えの特例の適用を受けることができます。
1 特例を受けるための適用要件
この特例を受けるには、次の要件すべてに当てはまることが必要です。
(1) 買換えのために売却資産(譲渡資産)と買換資産は、共に事業用に供 されているのものに限られる。
(2) 譲渡資産と買換資産とが、一定の要件に該当すること。 この代表的なものとして、次のものがあります。
イ 東京都の23区、大阪市などの既成市街地等内にある事務所や事
業所として使用されている建物又はその敷地用の土地で、その譲渡の
日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものを譲
渡して、既成市街地等でない 地域(国内に限ります。)にある事業用
の土地や建物を取得する場合
ロ 譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超える
国内にある事業用の土地等や建物を平成20年12月31日までに譲
渡して、国内にある土地等、建物又は機械装置を取得する場合
(3) 買換資産が土地であるときは、取得する土地の面積が、原則として
譲渡した土地の面積の5倍以内であること。これを超える部分は
特例の対象となりません。
なお、一定の農地への買換えの場合は10倍以内とされることがあり
ます。
(4) 買換資産を「譲渡年」、若しくは「その前年」中、あるいは「譲渡年の翌
年」中に買換資産を取得すること。
※なお、前年中に取得した資産などを買換資産とするためには、
取得した年の翌年3月15日までに「先行取得資産に係る買換えの
特例の適用に関する届出書」を 税務署長に提出をしておくことが
必要です。
※また、売った翌年中に買換資産を取得する予定の場合には、
確定申告書を提出する際に 取得する予定の買換資産についての取得
予定年月日,取得価額の見積額及び買換資産が買換えの組み合わせ
のいずれかに該当するかの別 その他の明細を記載した書類(買換
(代替)資産の明細書)を添付することが必要です。
(5) 事業用資産を取得した日から1年以内に事業の用に供すること。
なお、取得してから1年以内に事業に使用しなくなった場合は、原則と
して特例は受けられません。
(6) この特例を受けようとする場合は、重ねて他の特例(優良住宅地の造
成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
や優良賃貸住宅等の割増償却等)を適用することはできません。
(7) 土地等の譲渡については、原則として、譲渡した年の1月1日現在の所
有期間が5年を超えていることです。なお、 平成10年1月1日から平成
20年12月31日までの間にした土地等の譲渡については、この要件が
停止されています。
ただし、 (2)で説明した組み合わせの場合には、所有期間につい
て、譲渡した年の1月1日において10年を超えていることが、個別の要
件とされています。
(8) 譲渡資産の譲渡は、収用等、贈与、交換、出資によるもの及び代物弁
済としての譲渡ではないこと、また、 買換資産の取得は、贈与又は交
換によるもの及び代物弁済としての取得ではないこと。
2 譲渡所得の金額の計算
この特例の適用を受けた場合の譲渡所得の金額は、原則として次の 算式によって計算します。
(1) 譲渡資産の譲渡価額と買換資産の取得価額が同額か、または、買換 資産の取得価額の方が多い場合
①譲渡資産の譲渡価額×20%=収入金額
②(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×20%=必要経費
③①−②=課税譲渡所得の金額
(2) 譲渡資産の譲渡価額が買換資産の取得価額より多い場合
①譲渡資産の譲渡価額−買替資産の取得価額)×80%
=収入金額
②(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×
(収入金額/譲渡資産の譲渡価額)=必要経費
③①−②=課税譲渡所得の金額
4 申告手続
この特例を受けるためには、確定申告書に次の書類の添付が必要です。
イ 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
ロ 買換資産の登記事項証明書などその資産の取得を証する書類
ハ 譲渡資産及び買換資産が特例の適用要件とされる特定の地域内に あることを証する市区町村長等の証明書 など
(注) 買換資産を取得する見込みで、この特例の適用を受けた場合には、上記のロの登記事項証明書などは、買換資産を取得した日から4か月以内に提出しなければなりません。
5 更正の請求や修正申告
(1) 更正の請求 買換資産を取得する見込みでこの特例の適用を受け申告した買換資産の「取得価額の見積額」より「実際の取得価額」の方が多かった場合には、 買換資産を取得した日から4か月以内に「更正の請求書」を提出して所得税の還付を受けることができます。
(2) 修正申告 買換資産を取得する見込で、この特例の適用を受け申告した買換資産の 「取得価額の見積額」より「実際の取得価額」の方が少なかった場合には、買換資産を取得した日から4か月以内に修正申告をし、差額の所得税を納付しなければなりません。
(措法37、37の2、措令25、措規18の5、措通37の3−1の2)
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